和田秀樹の半自伝『頭のいい大学四年間の生き方』

感想・レビュー『頭のいい大学四年間の生き方』(和田秀樹)

★★★☆☆

本書は要約の前にレビューをしたい。理由は後述。

本書は,著者和田秀樹が,自身の経験から,大学生活の過ごし方について自伝的にアドバイスしたものである。この,自伝的であるということが,本書の最大の魅力と言えよう。

というのも,言っていること自体は至極当たり前のことばかりなのだ。自ら学ぶ姿勢の強調や,アグレッシブさの大切さなどを繰り返し説いている。

そういった姿勢の重要性を伝えるうえで重要なのは,身に迫って訴えかけてくるかどうかというところだ。本書は,著者自身の実体験をエピソードとして盛り込んでくれているので,訴えかける力は強い。そこが本書の醍醐味だ。

ところどころ,論理の展開を見失ってしまうこともあるが,それは本書が自伝的な本であり,真実を議論するというよりは学生を鼓舞する類の本だからである。

バランスという観点からすると,大学の外に出て行って学ぶという極端の立場をとっているため,大学内においていかに学ぶかということは薄い(全くないわけではないけども)。

したがって,この一冊だけ読めば「頭のいい大学四年間」を生きられるか,というとそうではない。大学内における学びも知っている前提で,本書を手に取れば「頭のいい」大学生活を送れるかもしれない。

以下,本書の要約となる。エッセンスだけ抜き取ると,目新しいことは何もない。だが,以上のような本書の魅力を踏まえて,読んでみたいと思う方は是非読んでほしい。分量も少なく文体も読みやすいので,1-2時間で読めてしまう。

要約・まとめ『頭のいい大学四年間の生き方』(和田秀樹)

まずは,本書を端的に要約した一文を。

要するに,自分で勝手に勉強するわけです。(p.2)

本書が主張するのは,教えてもらえるのを指をくわえて待っているのではなく,自分から積極的に学んでいこうとすることである。ではなぜ,自分で勝手に勉強することが大事なのか。その理由は2つ述べられている。

  • 大学という学びの場から「ティーチング・スキル(教える技術)」がすっぽりと抜け落ちているから(p.22)
  • 大学を出たときにそれなりの能力をもっていないと,社会環境が大きく変わった場合に,企業や社会があなたを必要としなくなる可能性があるから(p.26)

自分でアグレッシブに勉強するといっても,図書館で本に埋もれるとか,社畜並みに実験をするとか,著者はそういうことは述べていない(特段そういったことを否定しているわけでもない)。むしろ著者が重視するのは世の中との接点である。

中でも,自分の好きな分野でアルバイトをしたり人脈をつくったりすることが大事だ,と著者は主張する。その根底にあるのは次のような考え方である。

大事なのは,体験によって得ようが,本を読んで得ようが,最終的には知識が豊富であるに越したことはないということです。これは社会に出てからも同じで,学生のころからどれだけたくさんの知識を得ることができるかというのは大きな意味を持ちます。(p.137)

大学時代に見聞きしたものや自分の起こした行動そのものが勉強になる,だからアグレッシブさを忘れるな! 本書はそんなエールを学生たちに送っている。

おわりに

私は本書の著者,和田秀樹さんと出会ったのは『受験は要領』だった。当時高校生の私にとって,救いのような本だった。あまり本を読んでいなかったこともあり,高校時代に出会った本の中で最も記憶に残る一冊だった。

なので和田秀樹さんの本というと,ついつい目を通したくなる。本書を読もうと思ったきっかけもそうだ。大学生活の「攻略本」はごまんとあるが,和田秀樹さんの本なら読んでみたいかも…と思うのだ。

先述のように,目新しいオリジナルのアイディアらしいものはないことや,バランスの観点から星3つとしたが,私自身はとても楽しく読ませていただいた。「四年間」と書いてあるが,3,4年生が読んでも価値のある本だと思うので,大学でやり残しをしたくないと思うすべての人にこの本をお薦めしたい。

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